Braze City×City Tokyo 2025 開催レポート:本気の日本戦略と次世代CX

Summary

2025年11月13日にウェスティンホテル東京で開催された「Braze City×City Tokyo 2025」の開催レポート。2026年3月の日本国内データセンター開設という日本市場へのコミットメント、AI Decisioning Studio やゼロコピーのデータ連携といった最新アップデート、900名超が集まった当日のセッションと日本企業の取り組みをお届けします。

Braze City×City Tokyo 2025 会場の様子

2025年11月13日、東京・ウェスティンホテルにて、世界中の主要都市を巡るBrazeのグローバルイベント「Braze City×City Tokyo」が開催されました。

テーマは「デジタル・ボディランゲージ×AIで実現する次世代CX」。会場には、企業のマーケティング担当者やDX推進者など900名以上の来場者が詰めかけ、満席のセッションが続出するなど、昨今の「顧客エンゲージメント」に対する関心の高さを物語る熱気に包まれました。

本レポートでは、Braze創業者が語ったビジョン、日本市場に向けた戦略とコミットメント、そしてテクノロジーが実現する「おもてなし」の未来について詳報します。

INDEX

  1. 日本市場への「本気度」を示したオープニング
  2. マーケターは「キャンペーン実行者」から「オーケストラの指揮者」へ
  3. 文脈を理解し、自律的に動くBrazeの最新AI機能
  4. 多岐にわたる業界からのBraze事例紹介
  5. まとめ:テクノロジーで「おもてなし」をアップデートする
  6. よくある質問

日本市場への「本気度」を示したオープニング

Braze株式会社 代表取締役社長 水谷篤尚氏によるオープニングセッション

日本データセンターの開設を正式発表

イベントの冒頭、Braze株式会社 代表取締役社長の水谷篤尚氏が登壇し、Brazeが2026年3月に日本国内にデータセンターを開設することを発表しました。

これまでも多くの日本企業に導入されてきたBrazeですが、国内にデータ基盤を持つことは、特に高いセキュリティ要件が求められる金融機関や、公共インフラを担う企業にとって非常に大きな意味を持ちます。この発表は、Brazeが日本のエンタープライズ企業のDXを、インフラレベルから支えていくという強い決意表明と言えます。

水谷氏は、「(データセンターの開設は)明確に我々として日本市場へのコミットメント、ビジネス拡大に向けた投資になります」と力強く語りました。

セキュリティの厳しい金融業界への導入が加速

この本気度を象徴するように、すでに株式会社山口フィナンシャルグループでのBraze採用が決定したことも併せて発表されました。厳格なデータ管理が求められる地方銀行グループでの採用は、Brazeの安全性と信頼性が日本市場において認められたことを示しており、今後、セキュリティの厳しい業界におけるカスタマーエンゲージメントの高度化が加速していくことが予想されます。

マーケターは「キャンペーン実行者」から「オーケストラの指揮者」へ

基調講演では、CEO兼共同創業者のビル・マグヌソン氏と、共同創業者兼CTOのジョン・ハイマン氏が、AI時代におけるマーケターの役割の変化についてビジョンと戦略を語りました。

デジタル・ボディランゲージを読み解く

彼らが提唱したキーワードは「デジタル・ボディランゲージ」です。実店舗での優れた接客員は、顧客の視線や立ち振る舞い(ボディランゲージ)から、「何に興味があるか」「困っていることはないか」を瞬時に読み取り、声をかけます。Brazeは、これと同じことをデジタル上で実現しようとしています。

Brazeは、従来のデータフローのフレームワークである「Listen, Understand, Act」を、より表現力豊かな言葉でビジョンを伝えるため「Context(文脈)、Intelligence(知性)、Interaction(相互交流)」へ、新しいフレームワークに進化させました。

Webサイトでの滞在時間、クリックの挙動、アプリの利用頻度……これら膨大な「デジタル・ボディランゲージ」をリアルタイムに捉え、顧客が置かれている「文脈」を理解する。それこそが、画一的なマスマーケティングを脱却し、一人ひとりのニーズに寄り添い、求められる前に提供する「デジタル上のおもてなし」への第一歩となります。

AIは人間の創造性を解放するパートナー

AIの進化によって、マーケターの仕事はこう変わると、ビル氏は次のように提言しました。

「マーケターは、オーケストラの『指揮者』になるべきです」

これまでマーケターは、メールの配信設定やセグメント作成といった「キャンペーンの実行作業」に多くの時間を割いてきました。しかし、これからはAIが優秀な作業者として、それらのタスクを担ってくれます。

マーケターの役割は、AIやデータを指揮し、顧客に対してどのような体験を届けるかという「戦略」と「クリエイティビティ」に集中することへとシフトします。AIは人間の仕事を奪うのではなく、単純作業から解放し、より人間らしい創造的な仕事をするためのパートナーなのです。

Braze City×City Tokyo 2025 の基調講演に登壇するビル・マグヌソン氏

文脈を理解し、自律的に動くBrazeの最新AI機能

CTOのジョン・ハイマン氏からは、このビジョンを具現化する最新のプロダクトアップデートが紹介されました。

Braze AI Decisioning Studio:ルールベースを超えた自律的判断

最も注目を集めたのが、新機能「Braze AI Decisioning Studio」です。従来のマーケティングオートメーションは、「AならBをする」というシナリオを人間が事前に設定する必要がありました。しかし、顧客の行動は複雑で、すべてをルール化することは不可能です。

Decisioning Studioでは、AIが顧客のリアルタイムな状況や文脈を理解し、「どのオファーを」「どのチャネルで」「いつ届けるのが最適か」を自律的に判断します。これにより、マーケターは細かな条件分岐の設定に忙殺されることなく、成果に直結する戦略立案に注力できるようになります。

最新AI機能について語るBraze CEO兼共同創業者のビル・マグヌソン氏

データ連携の強化とCanvasの進化

企業のデータ戦略において、データウェアハウス(DWH)やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)などを中心としたSSOT(Single Source of Truth:信頼できる唯一の情報源)の構築が重要視されています。Brazeは、このSSOTに直接アクセスし、施策に活用するためのデータ連携を大幅に強化しています。

特に注目されるのが、DWHにある顧客データをBraze側にコピーすることなく、直接・リアルタイムに参照してアクションに繋げる「ゼロコピー」の考え方です。この技術の推進により、データ同期の手間を省きながら、最新かつ完全な顧客のコンテクストに基づく施策が可能になります。

この強固なデータ基盤の進化と並行し、Brazeの代名詞であるカスタマージャーニー構築機能「Canvas」も進化を遂げています。従来の直線的なルールベースのシナリオだけでなく、AIによる知性を組み込んだ「コンポーザブル・インテリジェンス」(組み合わせ可能な知能モジュール)の概念のもと、顧客の瞬時の行動変化に合わせて柔軟にルートが変わるような、より有機的なジャーニー設計が可能になりました。

プロダクトアップデートを紹介するBraze 共同創業者兼CTO ジョン・ハイマン氏

多岐にわたる業界からのBraze事例紹介

今回のCity×City Tokyoでは、Brazeからの発信だけでなく、実際に変革に取り組む日本のトップランナーたちが多数登壇しました。

多様な業界が語る「次世代のCX」

ブレイクアウトセッションでは、メディア、リテール、インフラなど、多岐にわたる業界の企業が、それぞれの課題と挑戦を共有しました。

  • 贈り手と受け手の“両想い”を叶えるTVerのCRM戦略(株式会社TVer)
  • Luupのデータドリブン戦略と次世代CRMプロジェクト(株式会社Luup)
  • 博報堂とKFCが描く「顧客進化型CRM」とBraze活用の最前線(日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 / 株式会社博報堂)
  • AIを活用し“個”をとらえた求人紹介と顧客エンゲージメント(株式会社カカクコム)
  • 「好き」を加速するデータ統合戦略:一貫したブランド体験を届けるコミュニケーション戦略(株式会社サンリオ / 株式会社GENDA)
  • AIを活用した効率化の先にある「真の価値創造」(アクセンチュア株式会社)
  • OMO戦略を描く上で、オンラインとオフラインをつなぐTCIサービスのご紹介(トランスコスモス株式会社)
  • なぜ顧客体験は分断されるのか?~羽田空港の事例に学ぶ、OMOとCRMによる“点から線へ”のDX戦略~(日本空港ビルディング株式会社 / ネットイヤーグループ株式会社 / 株式会社NTTデータ)
  • 夢中の作り方:ゲーミフィケーションが拓く顧客エンゲージメント(株式会社電通デジタル / 株式会社セガ エックスディー)

各セッションでは、単なるツールの導入事例にとどまらず、「顧客にどのような価値を届けるか」「組織としてどう変革するか」といった本質的な議論が展開されました。

熱気あふれるネットワーキングパーティ

全てのセッション終了後には、ネットワーキングパーティが開催されました。登壇者と参加者、あるいは参加者同士がグラスを片手に活発に意見交換を行う姿が見られ、会場は盛り上がりました。

業界や立場の垣根を超え、「より良い顧客体験を作りたい」という共通の想いを持つコミュニティが、ここ東京で育っていることを感じさせる光景でした。

まとめ:テクノロジーで「おもてなし」をアップデートする

Braze City×City Tokyo 2025 は、日本データセンターの開設発表というBrazeの日本市場への強いコミットメントに始まり、最新AI機能の紹介、そして多種多様な国内企業の取り組みが共有された、実り多い一日となりました。

一日を通して強調されたのは、「テクノロジー(AI・データ)はあくまで手段であり、中心にあるのは常に『人(Humanity)』である」というメッセージでした。

Brazeは、日本のマーケターが「指揮者」として、創造的で人間味のある体験を創り出すための最強のプラットフォームへと進化を続けています。デジタル・ボディランゲージを読み解き、AIと共に日本流のきめ細やかな「おもてなし」をアップデートしていく。その挑戦が、ここ東京から加速することが期待されます。

当日の内容は、オンデマンド配信でも確認いただけます。

よくある質問

Braze City×City Tokyo 2025 はいつ・どこで開催されましたか?

2025年11月13日、東京・ウェスティンホテルにて開催されました。テーマは「デジタル・ボディランゲージ×AIで実現する次世代CX」で、マーケティング担当者やDX推進者など900名以上が来場しました。

Brazeの日本国内データセンターはいつ開設されますか?

2026年3月の開設が予定されています。国内にデータ基盤を持つことで、高いセキュリティ要件が求められる金融機関や公共インフラを担う企業でも導入しやすくなります。イベントでは株式会社山口フィナンシャルグループでの採用決定も併せて発表されました。

「デジタル・ボディランゲージ」とは何ですか?

Webサイトでの滞在時間、クリックの挙動、アプリの利用頻度といった、顧客がデジタル上で発している行動シグナルのことです。実店舗の接客員が顧客の視線や仕草から意図を読み取るように、これらをリアルタイムに捉えて顧客の「文脈」を理解し、「デジタル上のおもてなし」につなげます。

Braze AI Decisioning Studio とは何ですか?

「AならBをする」という条件分岐を人間が事前に設計する従来型のオートメーションに対し、AIが顧客のリアルタイムな状況や文脈から「どのオファーを・どのチャネルで・いつ届けるか」を自律的に判断する新機能です。マーケターは条件設定から解放され、戦略立案に注力できます。

「ゼロコピー」のデータ連携とは何ですか?

データウェアハウス(DWH)にある顧客データをBraze側にコピーせず、直接・リアルタイムに参照して施策につなげる考え方です。データ同期の手間を省きながら、最新かつ完全な顧客コンテクストに基づく施策が可能になります。

参考文献・出典

  1. Braze株式会社「Braze、日本市場への投資をさらに強化」 https://www.braze.com/ja/press-releases/braze-japan-data-center
  2. Braze株式会社「記者会見レポート:米上場企業Braze、顧客体験特化型AI新製品と国内データセンター設立を発表」 https://www.braze.com/ja/resources/articles/conference-report-brazeai-domestic-data-center
  3. Braze株式会社「Braze City×City Tokyo 2025 オンデマンド配信」 https://www.braze.com/ja/resources/webinars-and-events/city-city-tokyo-2025-on-demand

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